2019年3月7日木曜日

【翻訳】FusionのヘッドコーチHayesがコーチ哲学について語る




オーバーウォッチリーグでは、チームにおける選手個人のハンドスキルに重点を置いた契約がなされている。DPSのようにゼニヤッタをプレイするJjonakへの歓声や、解説者たちが一番ヘッドショットが上手いウィドウプレイヤーについて話し合うのを聞くのはいつも心踊る。しかしオーバーウォッチはチームゲームであり、トップレベルの域になると本質的に個人技より戦術や連携といった面が重要になる。マクロ面やペイロードを押す術を知らなくても、結局頭をぶち抜けば良い選手なのだろうか?

競争についていくためには、優れた才能を持つ選手が必要となる。チームの長期間の成功は、選手だけではなく裏方あってこそだ。コーチングスタッフは攻撃プランを練り実行方法を伝え、戦術やゲームプランを開発し選手を勝利へ導く欠かせない存在だ。それだけではなく、優れたコーチは厳しい練習や反省を長時間行うチームを精神的に団結させる。

Philadelphia FusionではヘッドコーチであるHayes,NamedHwiの両名が、世界各国からの選手を束ねファイナリストチームへと導いた。OWLシーズン2の開幕数週間で好スタートを切った後、Hayesコーチに内部の仕事や順調な理由について尋ねた。



インタビュワー:同じくヘッドコーチであるHwi氏とあなたの間にあるコーチングの原動力はなんですか?サポートスタッフとしての責務はどのようにしてバランスを取っているのでしょうか?

Hayes:私はヘッドコーチとして普通の責務しか持っていません。ウエスタンヘッドコーチとコリアンヘッドコーチがいるように思えるかもしれませんが、チーム内では同じ役職なんです。責務は二人で共有しています。ヘッドコーチ2人体制でいこうと決めた理由は、去年のシーズンを通して戦術や意思決定を思い付いた際に私とHwiの息がぴったりだったからなんです。それでヘッドコーチを二人にしてみようかということで話が進みました。

インタビュワー:コーチングをするにあたっての哲学を軽く教えていただけますか?

Hayes:コーチとして選手がどれくらい働いてほしいか基準を設定する必要があります。どういうことかというと、コーチとして努力したい、詰め込みたい、自分の戦術を考えたい、そして対戦相手を用意してスクリム中でも仕事仕事。選手はそんな姿を見ると同じように努力し、ランクに籠り、新しいヒーローについて学ばなくてはと思うんです。

もうひとつとにかく重要なのは、自分たちはひとつのチームでありチームメイトを信用しなければならないと理解すること。これは昨年の私たちに少し欠けていたことで、私たちはひとつのチームであり、全員がひとつのチームとしてプレイするべきです。それができていたのは唯一プレイオフに入ってからで、そのときは素晴らしいパフォーマンスでした。一年を通して非常に波が荒いプレイをしており、プレイオフでだけ自分たちがチームだと受け入れたんです。なので言いました、「一緒に乗り越えていくんだ、そうすれば全力を出せる」と。

インタビュワー:去年は練習時間の調整が主な話題であり、どのチームも独自の方法をとっていたようでした。適度なバランス感覚についてどのようにお考えですか?

Hayes:昨シーズンはとんでもない長さで、レギュラーシーズンに40試合ありました。個人的には、スクリムでの実プレイ時間は4時間以内にすべきだと考えています。これについてはとても強く感じています。その理由は選手があまりにも早く燃え尽きてしまうからです。1日中プレイしているとフォーカスは散り、疲弊し、ゲームに対する情熱を失ってしまいます。

良いバランスだと思うのは4時間スクリム、2時間休憩、2時間マップ研究、録画視聴、その間に1時間休憩を入れます。とても複雑で刺激的なゲームなので、それ以上のことは選手にとって望ましくありません。

インタビュワー:録画視聴は選手とコーチの間でどのようにして行われるのでしょうか?

Hayes:どんな種類の映像なのかによります。シーズン中たまにマップについて話し合います。コーチ陣が下調べした所定のマップについて、戦術面で選手と話し合います。選手が不明瞭や不安に感じる点があったら、なぜそうなるかあるいはならないと思ったのか明確にします。

戦術やロールアウト、行動にはそれぞれの思惑があることは承知しています。その上でコーチは録画をメモします。動画時間や話し合うトピックをノートに書き込み、試合の後に持ち出します。録画視聴はプロジェクターのある部屋で行うので、全員が何について話しているかわかるようになっています。ミスについて話すときはどうすれば直るのかとことん話すので、録画視聴はかなり前進させてくれます。

インタビュワー:すごく熱心、またはプレイに反映させている選手は特にいますか?

Hayes:本当にほとんどの選手は勉強熱心なのですが、EqoとElkの二人は頭ひとつ抜けてますね。この二人はいつも試合の空き時間に話したり議論しています。Eqoは特にマクロ面で並外れたゲーム理解度を持っており、常に成長する方法を考えています。正直どの選手もゲーム理解度は本当に高いですよ。このレベルになると、ゲーム理解度がないと個人技だけに頼ることになりますから。

インタビュワー:一番波長が合うのはどなたですか?また、あなたの指導の下で一番成長したのはどなたですか?

Hayes:Elkとはかなり反りが合いますね。彼は一番新入りなんですが、いつも議論できる相手だし、いつも彼のところへ行って戦術やらなにやらについて尋ねられるし、いつも彼は私のところへ質問しに来ます。すごく良い会話ができるし、お互いから学べるんです。

成長したということで言えばFragiを挙げます。シーズンが始まったときに一緒にたくさん仕事をしました。とても成長したし、彼の現在のパフォーマンスには満足しているんです。

インタビュワー:あなたの視点で、何が「コーチャブル」な選手を生み出すのか、また新しい才能には何を求めますか?

Hayes:コーチャブルな選手というのは柔軟かつ冷静な人だと考えています。才能は必要ですが、常に自分が正しいと思い込んではいけません。オーバーウォッチはあらゆるものが変化する複雑なゲームであり、自分がすべき正しいことを知ることはできません。わかっているつもりなら、結局頭でっかちになってしまい、アンティーチャブル(お手上げ)になってしまうのです。

インタビュワー:コーチが成功するために最も必要な特徴やスキルは何ですか?

Hayes:一番重要なのはゲーム理解度です。このゲームを基本的なレベルで理解しなければならず、それはゲームを高いレベルでプレイするか、相当量勉強する必要があります。口で説明して出来るようなものではありません。

ヒーローがどのようにゲームにフィットするか考えなくてはならず、ヒーローに調整が入ったらそれをやり直しロスター全体にどんな影響を与えるか考えます。まだ経験したことのない方もいらっしゃると思いますが、コーチングを始めて成長を繰り返せば上達します。

コーチには優れたコミュニケーションスキルも必要です。選手と話したり、問題解決できなければなりません。それも仕事の一環です。一部のコーチは試合にすら集中せず対人関係やチーム内の議論の仲介などの問題解決をするそうですが、それくらい重要なことなんです。揉め事がないようチームを気遣わなければなりません。

コーチのエゴは無くさなくてはいけません。エゴを持っていると予想外の方法で他者に刷り込まれていきます。結局のところ、そういうエゴを持った選手を率いることになり、彼らに基準を設定しなくてはならず、エゴが邪魔になるのです。コーチにとって最悪の事態です。


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